2014年10月24日(金)(晴れ)
以前このブログで「エスノグラフィ」について記載したことがありますが、ここのところ仕事においても、MOTの研究論文においても、「ビジネス・エスノグラフィ」にかなりはまっております。
「エスノグラフィ」は英語で表記するとEthnography。Ethno(民族)+Graphy(記述)で日本語では「民族誌」と呼ばれます。
もともと文化人類学の中で、あるコミュニティにフィールドワークとして入り込み、その中での行動様式を記述し新たな仮説や価値観を見出していく手法として使われていました。
「ビジネス・エスノグラフィ」はそれをマーケティングやプロセス改善等、経営を支援する道具として有効なエッセンスを抽出し、短期間で繰り返し実施可能な形式にデザインしたものです。
欧米においては「エスノグラフィカルメソッド」は盛んに活用されていますが、近年、日本においてもいくつかの企業事例(大阪ガス、花王、北海道日本ハムファイターズ・・・)が紹介されています。
米国の事例ではありますが、身近な事例を挙げると、コピー機の「緑色のスタートボタン」はエスノグラフィのアプローチから生まれたものです。
プロダクト開発にいち早くエスノグラフィのアプローチを取り入れたパロアルト研究所(ゼロックス子会社のPalo Alto Research Center)では、自社のコピー機を使う社員の様子をビデオで撮影し、「コピーすること」自体に苦戦する様子から問題点を発見しました。
近年目覚しいスピードでの技術の進化とともに人間の思考も変化しています。
かつて、マネジメントに求められた手法は均一性、完全性、網羅性といった標準への準拠を基盤にした「生産性の向上」を目的としたものが主体でしたが、技術の進化に伴う人間の思考の変化につれ、安全・安心・誇り・尊敬といった人間の満足即ち「社会の信頼性の向上」が求められています。
つまり、人間の満足を高めるためには、従来とは異なるマネジメント方法を補完することが求められています。
Pro-SPIREのソリューション分野においてはBI/DWHやSPSS等を活用してデータの可視化や統計分析を行っていますが、定量的データの分析には限界があることも事実です。
人間の満足を先行重視した、ヒューマン・セントリック(人間中心)なデータ分析の手法として「ビジネス・エスノグラフィ」を取り入れ、社会の多様性と変化への継続的対応を図る・・・。
ビッグ・データの領域はとてつもなく広い領域です。
「仮説検証型の定量的データ分析」と「ビジネス・エスノグラフィを活用したヒューマン・セントリックなデータ分析による新たな仮説の創出」・・・。
ビッグ・データの活用において、両者のハイブリッドな融合と使い分けが、これからは必要なのではないでしょうか。
本日はいつになく、真面目なブログを書いてみました。(*゚ー゚)>